ポストヘッドバー工法実施後のせん断耐力は数多くの実験に基づいて確立されています。
以下に計算方法を概説します。
ポストヘッドバーのせん断耐力の計算法
我が国で最初に建設技術審査証明書を取得したポストヘッドバーは、新設時に用いるせん断補強鉄筋のかわりに用いる後施工タイプのせん断補強鉄筋である。したがって、基本的に新設のせん断補強鉄筋と同様に補強対象部材の主鉄筋どうしを結ぶように設計することが重要となる。
ポストヘッドバーのせん断耐力はコンクリート標準示方書等の考え方を基本としている。具体的には、同一径・同一強度のせん断補強鉄筋を新設で用いる場合のせん断耐力に有効係数をかけることによりポストヘッドバーのせん断耐力が算出できる。
有効係数はポストヘッドバーの鉄筋径等により決定されるが、審査証明報告書で、その最大値は0.9で頭打ちとなっている。したがって、後施工であることで新設時に用いる同一径・同一強度のせん断補強鉄筋のせん断強度の、最大で0.9倍のせん断強度で設計できることになる。
なお、この考え方は、ポストヘッドバーの後で建設技術審査証明書を取得した類似工法でも踏襲されている。
ポストヘッドバーのせん断耐力の算出式
Vphb=βaw・Vawd=βaw [Aaw ・fawyd (sinαaw+cosαaw)/Saw]z/γb
ここに、
Vphb: | ポストヘッドバーにより受け持たれるせん断耐力 |
---|---|
Vawd: | ポストヘッドバーを同一径の新設のせん断補強鉄筋とみなした場合のせん断耐力 |
βaw: | ポストヘッドバーの有効係数 βaw=1-ly/{2・(d-d’)}(d-d’≧ly、片端矩形プレートの場合) βaw=1-ly/(d-d’)(d-d’≧2ly、両端円形プレートの場合、D32両端円形プレートの場合はd-d’>710mm以上) ただし、βaw≦0.9 |
ly: | ポストヘッドバーの円形プレート側の必要定着長(表参照) |
d: | 部材の有効高さ(=部材厚 - 地山側主鉄筋の地山側表面からの芯かぶり) |
d’: | 手前側主鉄筋の芯かぶり d-d’は主鉄筋間隔となる |
Aaw: | 区間Sawにおけるポストヘッドバーの総断面積 |
Saw: | ポストヘッドバーのせん断スパン方向の配置間隔 |
fawyd: | ポストヘッドバーの設計降伏強度 |
αaw: | ポストヘッドバーが部材軸となす角度 |
z: | 一般にd/1.15としてよい |
γb: | 一般に1.10としてよい |
表 各鉄筋の円形プレート側の必要定着長 ly(D:鉄筋径)
鉄筋径 | 鋼種 | |
---|---|---|
SD295A・B SD345 |
SD390 | |
D13 | 3.5D | 4.0D |
D16 | 5.0D | 5.5D |
D19 | ||
D22 | ||
D25 | 5.5D | |
D29 | ||
D32 |